「あとになって私は気づくことになる。作家の仕事とは、ピギー・スニードの命が助かった場合を想定すること、火事を起こしてピギ… | 本で出逢った感動の名言
本で出逢った名言・名セリフ
「あとになって私は気づくことになる。作家の仕事とは、ピギー・スニードの命が助かった場合を想定すること、火事を起こしてピギーを窮地に追い込むこと、そのどちらでもあるのだ。」
ジョン・アーヴィング『ピギー・スニードを救う話』 より
そのセリフに感銘を受けた理由
本自体はアーヴィングとしては異色の短編集です。もともと好きな作家だったので、当然これも読んでおこうと思ったに過ぎないのですが、全部の作品の中で最も印象に残ったのが表題作「ピギー・スニードを救う話」であり、その終盤のこの一文は、ぐっと深く心に刻まれるものでした。
ピギー・スニードとは、アーヴィングが少年時代身近にいた、ある大人の男性の「あだ名」ですが、少年の目から見たピギー・スニード、周囲の彼に対する評価などについてざっと触れられた後に起きた事件が核心です。短編だからこそフォーカスがくっきりとしていて、落としどころも見事の一言。「作家のお仕事」とその魅力をこれほど端的に表現したものはないだろうと膝を打ちました。
彼がものしてきた作品がどれも魅力的なことだけでなく、40年以上「書き続けて」いることに対しても大きな説得力を持たせる一文だとも思います。恥ずかしながら作家志望だった時代がある身ですが、これからジョン・アーヴィングになるのは無理としても、作中登場する彼のおばあさまのような「わかってる人」を目指します。
回答者:40代 女性
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