「あんた、ああいう女が良かったわけ。うっすら涙浮かべて、絵だけでいいのって、そういう女が良かったわけ?だったら早く言っ… | 本で出逢った感動の名言

恋文
著者: 連城 三紀彦
ISBN:4101405042 / 発売日:1987-08
出版社.: 新潮社

本で出逢った名言・名セリフ

「あんた、ああいう女が良かったわけ。 うっすら涙浮かべて、絵だけでいいのって、そういう女が良かったわけ?だったら早く言っといてくれたらよかったのよっ。確りした女がいいって言ったじゃないの。私だってね、結婚する前は皆に甘えん坊で仕方ないって言われてたのよ。けど私までそんなことやってたら今日まで保たなかったじゃないの。家も優もメチャメチャになってたわよ。私が確りしてなきゃ、頑張らなきゃ、我慢しなきゃと思ったから泣きたい時にはわざと気の強いこと言って、腹が立つ時には笑って、そうやって、やってきたのよ」

恋文 より

そのセリフに感銘を受けた理由

直木賞を取った作品だというだけで手に取った「恋文」という単行本の、主人公のこのセリフを読んで涙が止まりませんでした。

「これは私だ」

そうです、立場はまるで違っていましたが、まだ20代だった当時の私の心情そのままだったのです。作者の連城三紀彦さんは男性なのにどうして女性のこうも深い内面が理解できるのだろうと不思議になり、彼の作品を片っ端から読み始めたきっかけになった文章でもあります。自分じゃあない他人の、しかも活字で自分自身の内面を見せられた事で冷静になる事が出来て、なんだかとても気分が楽になりました。

それからは少し肩の力を抜いて楽に生きて行こうと思えるようになった気がします。30年たった今でも懐かしく読み返すことがあるのですが、その時その時で少し感じ方も変わり、それはそれでそんな自分がとても面白いのです。

回答者:50代 女性

恋文
著者: 連城 三紀彦
ISBN:4101405042 / 発売日:1987-08
出版社.: 新潮社

あわせて読みたい