三国志ファンも知らない人も。大和魂をくすぐる武将たちの名言集 | [書評]三国志 将の名言 参謀の名言
三国志が愛されている理由は、名言の数々にあり
私は三度の飯より三国志が好きです。
吉川英治の三国志をベースとして、映画やコミック、ゲームなど、三国志と名がつくものには大抵手を出しています。三国志が長きに渡り、これほどまでに日本人の心を掴んでいるのはなぜなのか?むしろ中国人より日本人の方が、猛烈に三国志を愛しているのはなぜなのか?
その理由の一つが、登場人物たちが残した名言でしょう。そして名言のほとんどが、日本の現代社会に通ずるエッセンスを含んでいるからではないでしょうか。
名将、名参謀が残した言葉たち
三国志には実に多くの名言が登場します。
「泣いて馬謖を斬る」「三顧の礼」などはあまりに有名ですが、私が個人的に好きな言葉を3つあげてみます。
誠にその才あれば、弱と雖も必ず強し
【本当の才能をもっている者は、たとえ今は弱くとも必ず強くなっていくものだ】
情を矯めて算に任せ、旧悪を念わず
【感情を抑え、計算に徹し、過去の悪事にはこだわらない】
得易しとなすと雖もまた失い易し
【簡単に手に入るものは、またすぐに失いがちである】
これらの言葉は、政治や戦争という、命に関わるやりとりで生まれた言葉です。
小説の中で登場人物が口に出していると、物語の中の事で、自分たちには直接関係ないことだと完結してしまいがちなんですよね。しかし言葉だけをこうして切り取ってみると、不思議なことに、私たちが生活する日常にも潤いと勇気を与えてくれるものが多いことがわかります。
現代に生きる日本人も、人生という戦場を生きているんだなあと、少々大げさではありますが感慨深いものを感じるのです。
大和魂にリンクする、三国時代の「仁」のこころ
三国志の時代は典型的な儒教思想です。日本にも日本型儒教というものがあり、少なからず儒教の流れを汲んでいます。ですから武将や臣下の言葉に、私たちは少なからずシンパシーを感じるのではないでしょうか。
この本は、三国志ファンはが読めば「ああ、これはあの時、あの武将が誰々に向かって言ったあの言葉か~」とわかりますし、三国志を知らない人でも、言葉に関する背景や意味合いがしっかり解説されているので非常にわかりやすいです。