百子は、あんまり愛しすぎている、とよく思うことがあった。 | 本で出逢った感動の名言
本で出逢った名言・名セリフ
百子は、あんまり愛しすぎている、とよく思うことがあった。
永すぎた春 より
そのセリフに感銘を受けた理由
これは小説の一番初めの一文です。
一体これを読んだ時は、「何を?」「どういう状況?」と一気に想像が広がりました。
「あんまり愛しすぎている」という文言は、一見愛しすぎていることが「よくないこと」のように書かれているように思ったからです。
恋人に対する百子さんの愛情の気持ちと状況を描写しているのですが、この言葉は恋愛の当事者が語るにはあまりにも冷静すぎます。冷静な分析で「愛しすぎている」と気持ちを描写する、そのアンバランスさに興味を惹かれました。
正直この一文がなければ、私は最後まで本を読まなかったかもしれません。
最後まで読むと、この物語は恋人との会話で話が終了します。一番初めの鬼気迫るような孤独感や一人で恋愛をしている気分に陥っている女性が冷静に気持ちや状況を判断するのとは対照的で、見事だと思いました。
この後に何冊別の小説を読んでも、この一文ほど印象に残る文言と出会ったことはまだありません。
回答者:20代 女性
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