旅をしながら人を理解し、関係を築きなおす描写が感動的 | 読むと旅に出かけたくなる本

ドナウの旅人〈上〉
著者: 宮本 輝
ISBN:4101307032 / 発売日:1988-06-29
出版社.: 新潮社

旅をしながら人を理解し、関係を築きなおす描写が感動的

ドナウの旅人 より

突然出奔した母親を追って、かつて暮らした西ドイツに向かった娘が、当地で再会した母親や、かつての恋人との関係を紡ぎなおしていく素敵な物語です。

西ドイツからルーマニアまで、何千キロもの旅を続けながら、わかっていたはずの母や父のこと、終わったと思っていたかつての恋人とのことなどを新たに知ることで、混乱したり感動したりしながら新たに関係を築きなおし、ともに良い変化をしていく様子が感動的です。ヨーロッパ、とくに共産圏の国のことはあまりなじみがありませんでしたが、ドナウ川に何千キロもの間見守られながら各地を巡り、様々な場面を経て黒海にたどり着く一行を追ううちに、旅情を掻き立てられます。

旅の終わりに主人公の母が亡くなるという悲しい最後なのですが、旅の間にお互いをこれまでにないくらい理解した母子を、黒海が見守っているというイメージで、私はこのラストに非常に美しい印象を持っています。

私もドナウ川に沿って旅をして、黒海の開ける感動的な眺めを見たい!と思いました。

回答者:30代 女性

ドナウの旅人〈上〉
著者: 宮本 輝
ISBN:4101307032 / 発売日:1988-06-29
出版社.: 新潮社

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