砂以外に悩みのない暮らし | 読むと旅に出かけたくなる本

砂の女
著者: 安部 公房
ISBN:410112115X / 発売日:2003-03
出版社.: 新潮社

砂以外に悩みのない暮らし

砂の女 より

現実の社会を忘れられます。この本の主人公の男は、普通に仕事をし普通に奥さんと生活しているいたって普通のおじさんです。彼は世間からは失踪したと見なされ、砂に埋まった村での生活を迫られてしまいます。

ストーリーの大半は、オトコがいかにこの地獄のような砂の国から逃げ出すか、ということに割かれていて、騙したり脅したり試したりと、スリリングな展開です。読み手も男と一緒になって、砂の国を逃げ出したくなります。しかし、いつしか砂の国での生活に慣れた時、果たして本当に帰りたいのだろうか…?と、男は気付きます。

読み手がそこでどう思うかは自由です。しかし、決まり切った社会生活、なんでもない暮らし…これらに嫌気が差したことがあるのなら、無意味な労働に追われクタクタになりながら生きていることを実感する砂の国での暮らしも悪くないのでは?と思えてくるから恐ろしいです。

回答者:20代 女性

砂の女
著者: 安部 公房
ISBN:410112115X / 発売日:2003-03
出版社.: 新潮社

あわせて読みたい