旅は人を変える。移ろいやすい思春期に経験する旅の中で迎えた変化とは? | 読むと旅に出かけたくなる本
旅は人を変える。移ろいやすい思春期に経験する旅の中で迎えた変化とは?
海辺のカフカ より
この本を読んで特定の場所に行きたいと思ったわけではありません。村上春樹の本は、今いる場所ではないどこかへ行きたくなるような本です。それは例えば、昔の思い出が詰まっている地元へ。誰も知り合いがいない田舎町へ。静かに本が読める森林へ。
中でも海辺のカフカは、移ろいやすい思春期の少年が主人公です。誰しもが思春期青年期は、それまでの自分とは少し違う自分に変わるタイミングです。内から漏れ出るエネルギーを持て余し、主人公は遥か離れた土地にある図書館を求めて移動します。それはかすかな記憶でしかない母親の影を追う旅であり、父親を超える旅でした。成長には痛みが伴います。そんな彼が自然な流れの中でたどり着いた先は、とある山小屋でした。そこで主人公は孤独な生活を送り、自分自身を見つめる旅に出ます。
人が行き着く旅は、最終的には己の中であり、その旅を終えた人は成長という変化を通して新しい自分になる。そんな変化を感じられるこの話は、停滞した毎日を変えるために旅に出たくなる。ここではないどこかへ。
回答者:30代 女性
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