「日本史」はただの歴史ではないと気づかされた一冊

美貌の女帝 より

この物語は藤原京、平城京の時代の話です。だから実際には行けるわけがありません。でも、読み終えた後、無性にこの物語の人物たちが生きた場所へ行ってみたくなりました。主人公は元正天皇。持統・元明、そして元正天皇と女帝が三代続いた最後の天皇です。

氷高皇女として過ごした少女時代の瑞々しさ、天皇にならなければならないという運命を受け入れるまでの葛藤、即位後の女性ではなく天皇としての生き方。端々に読めるせつなさが、彼女の生きた時代へと思いを馳せ、彼女の生きた場所へ行ってみたいと思うのです。かの地で彼女の必死の想いに寄り添ってみたいと思うのです。

ただの史実を述べる小説ではなく、ひとりの女性としての生き様にひたすら魅了されてしまうものでした。

回答者：30代 女性