様々な国の、様々な人間の日常を通して、世界のありのままの「美しさ」を語る | 読むと旅に出かけたくなる本

キノの旅 the Beautiful World
著者: 時雨沢恵一
ISBN:4048668498 / 発売日:2000-07-10
出版社.: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス

様々な国の、様々な人間の日常を通して、世界のありのままの「美しさ」を語る

キノの旅 より

この本は主人公のキノがしゃべる二輪車エルメスと共に様々な国に旅へ出る話です。

主人公のキノは凄腕の拳銃使いで、大抵の人間はキノの敵ではありません。そしてキノは自分の身を守るためになら冷静に人を殺めることができます。この世界は日本のように治安がいいわけではありません。主人公のキノも作品内で、旅先で出会う半数ほどの人間は危険であると述べているほどです。

そんな危険で、醜く、そして時には美しい世界をキノは旅します。

訪れる国は様々で、例えば「人を殺してもいい国」とか、「平和な国」とか、「大人の国」みたいな風刺めいた国もあります。そのような国に訪れたからといって、まぁ話にもよりますが、とりわけ何かドタバタ劇が起こったり、人を救ってヒーローになったり、あるいは何かロマンスめいた出来事が起きるわけではありません。

キノは積極的に国の人々に関わろうとしないのです。理由は本書をお読みになればお分かりいただけるでしょう。

物語は淡々と、いろいろな国に生きる人たちのありのままの「日常」を描き出します。時としてそれは美しい人間模様であったり、あるいは眉をひそめるような「日常」であったりします。そしてそれら美しいものも美しくないものも含めて、無限な世界の一つの表れであり、「美しい」ものであるわけですね。

「世界は美しくない、それ故に美しい」とはこの書物の一巻に出てくる言葉です。

私自身はこれらの作品が描き出そうとする世界のありのままの美しさ、醜さ、そういった美しさを肌で感じたいがためにこの書物を読むと旅に出たくなるのです。

回答者:20代 男性

キノの旅 the Beautiful World
著者: 時雨沢恵一
ISBN:4048668498 / 発売日:2000-07-10
出版社.: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス

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