システムを理解するとは、問題の解決方法も理解することである | [書評]世界はシステムで動く


本書は、システムダイナミクスの考えに基づいた思考法や考え方について書かれた書籍です。システムダイナミクスは1960年代にアメリカのマサチューセッツ工科大学で研究が始まったシステム理論です。

物事を要素だけで見るのではなく全体のシステムとして捉える理論であり、この「世界はシステムで動く」ではシステムダイナミクスの考え方を丁寧に解説してくれています。

人間には元来、物事を線形に捉えようとする傾向があると思います。自分に起きる出来事や見える世界を単純化して捉えようとするのです。

私も人生において、見える世界を単純化して生きてきました。物事を「1+1=2」という当たり前の概念だけで捉えようとしていたのです。

しかし、この書籍を読んでから、世界を見る視野が広がりました。この書籍を読んで得られた最大の発見は、世界はそもそも非線形であり複雑であるということです。
確かに自分の人生を振り返った時、単純化した思考では解決できない問題に直面したり、なぜ上手くいかないのかと不思議に感じることがありました。

「世界はシステムで動く」を読んで、過去の自分の考え方や捉え方が非常に静的で部分的な見方をしていたということに気づきました。
システムダイナミクスとは、1つ1つの要素に注目するのではなく全体をシステムとして見るということであり、静的に物事を捉えるのではなく常に変化する世界を動的に捉えるというです。

私にとって、この考え方は目から鱗でした。自分のパラダイムを転換するのに充分なインパクトがあったのです。この書籍を読んで、物事を広い視野で捉えられるようになりました。

例えば仕事において起きる様々な問題を、起きた事象だけで捉えるのではなく、問題を生み出している本質を見抜けるようになりました。また、問題の原因は必ずしも起きた結果から細かく分析するだけでは、理解することが不十分であることを知ることができました。

大切なのは問題の背後に潜むメンタルモデルがあったり、問題を起こしている構造があるということなのです。それらの潜在的な原因が、パターンを生み、問題として表面化するのです。

自分の過去を振り返った時、なぜ問題が起きたり、上手くいかないことがあったのかがシステムダイナミクスの概念を知ることで理解することができました。

私は目前の事象に囚われることで、全体を見ることを忘れていたのです。完全に「木を見て森を見ず」の状態だったのです。

「世界はシステムで動く」では、「木を見て森も見る」という考え方や捉え方を学ぶことができました。それは過去の私に最も欠けていた視点であり、自分の世界をとても単純化して狭くしていた原因でした。この書籍でシステムダイナミクスの概念に出会えたことで、人生を広く深く見られるようになったのです。


あわせて読みたい