青森を出発して三十時間で、このような発狂者の出る程の負担を強請した指揮者の自分が、雪という敵に対して余りにも作戦が疎漏で… | 本で出逢った感動の名言

強力伝・孤島
著者: 新田 次郎
ISBN:4101122024 / 発売日:1965-07-30
出版社.: 新潮社

本で出逢った名言・名セリフ

青森を出発して三十時間で、このような発狂者の出る程の負担を強請した指揮者の自分が、雪という敵に対して余りにも作戦が疎漏であったことに深い責任を感じた。

強力伝・孤高 より

そのセリフに感銘を受けた理由

本小説の中に収められている、『八甲田山』からの一文です。有名な八甲田山の死の行軍の一件で、作戦を立案し、指揮していた大尉が自らを責める感情がよくあらわれています。映画でも、この実在のすさまじい事故については、作品を通じて触れたことがあります。

私は、映画よりもむしろ小説、活字を通しての方がより当時の切迫した状況を身近に感じました。すさまじい状況が繰り広げられるなかで、大勢の命を一手に預かる大尉としての胸中は、本当にいかばかりか、と察しても察しきれません。

少なくとも、この一文、そしてこの作品中を貫いている緊迫した事故の様相に触れるにしたがって、一読者であることを忘れ、すっかりとこの八甲田山の真っ白な情景の中に身をおいている気がしてくるから、本当に作品後からを感じさせられました。

回答者:30代 男性

強力伝・孤島
著者: 新田 次郎
ISBN:4101122024 / 発売日:1965-07-30
出版社.: 新潮社

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