【TRIGUN】生命賛歌を歌うアメコミチックなSF西部劇 | おすすめ漫画感想

TRIGUN Nー1
著者: 内藤 泰弘
ISBN:4785933054 / 発売日:2010-01-30
出版社.: 少年画報社

砂漠の惑星をさすらう高額賞金首な主人公、ヴァッシュ・ザ・スタンピードは凄腕のガンマンでありながら、その信条はラブ&ピース。「誰も殺さない」ことを絶対に守り通す彼は、自身の信念と世界の現実の狭間で悩み苦しみ、傷つきながらも、因縁の相手と対峙するために旅を続けます。この漫画は、そんな彼や彼を取り巻く人々、敵対する人々の全てが過酷な世界で必死に生きようとする話で、一貫して描かれるのは生きることの大切さです。

ストーリーは随所にコメディ色が散りばめられてはいるものの、基本的にはシリアスです。途中で掲載誌を移しタイトルが「TRIGUN MAXIMUM」になるのですが、本番はむしろそこからで、加速度的にストーリーが重さを増していきます。銃を持ちながら不殺を掲げ、人を易々と殺し虐げる悪党の命すら奪えない主人公の矛盾は幾度となく敵味方に指摘され、糾弾され、それでも信じた人々のために己を貫こうとする主人公の姿は、時に痛ましく、時に滑稽ですらあり、そして何よりかっこいいのです。

ヴァッシュだけでなく彼と道行きを共にする仲間や彼と対峙する敵たちもまた、強い信念や想いを背負って戦っています。彼らはスタイリッシュでかっこいい姿の者がいる一方、見るからにハチャメチャでカオスな、人間であることを疑いたくなるような者もいて、非常に個性もバリエーションも豊かです。どでかい十字架を背負っていたり、肩に電飾を乗っけていたり、文字通り巨人のような一家だったり、次はどんなのが出てくるのかと期待せずにはいられません。

癖の強い絵柄と作風で好みは分かれるかもしれませんが、はまる人は私のようにとことんはまります。

回答者:20代 女性

TRIGUN Nー1
著者: 内藤 泰弘
ISBN:4785933054 / 発売日:2010-01-30
出版社.: 少年画報社

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