【こわれた腕環ーゲド戦記】本当の自由とは何だろう | おすすめ漫画感想


ゲド戦記シリーズはまるで児童文学書とは言えないくらい、奥深く、考えさせられる作品です。ゲド戦記シリーズの中の第二作に当たる、本作品「こわれた腕環」は古くから伝わる迷信によって翻弄される少女が主人公です。しかしその少女はゲドに出会って自ら人生を変えていきます。

作品全体の雰囲気は暗く、重く、スリリングであっという間にゲド戦記の世界に引っ張られます。作品後半にいくに従って、重苦しい洞穴から出ていくのですが、そこで単に良かったね、素晴らしいね、人生を明るい方向に変えたね、とハッピーエンドにはならないところがこの作品の良さであり、一番の見どころかなと私は感じます。

さぁ、洞穴から自由な世界へと出ました。でもこれからどうしよう?行く先も、これからどうなるのかも何も分からない。今まで自分がいた世界とは違いすぎてただただ目の前の世界に呆然を立ち尽くしてしまう。漠然とした自由への恐怖。洞穴にいた時のほうが良かったかもしれない。何も知らずに済んだから・・・。洞穴には戻れない。でもこの広すぎる新しい世界に一歩踏み出すこともできない。

そんなとき少女は何を思い、何をするのか。人間の揺れる心が剥き出ししなった作品で、私はとても共感し、感動した作品です。

回答者:20代 女性


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