今ここで、きみに言いたい。同封した写真を見て。きみはいい顔している。際限なく広がるこの美しい世界の、きみだってその一部な… | 本で出逢った感動の名言

失はれる物語
著者: 乙一
ISBN:4044253064 / 発売日:2006-06
出版社.: 角川書店

失はれる物語の短編集のうちの、「しあわせは子猫のかたち」での雪村サキの手紙の言葉です。主人公の青年は孤独を求め、暗い生活を送っているのですが、引っ越した先の家には前の住人である幽霊の雪村サキと子猫が住んでいました。奇妙な共同生活を送るうちに、主人公と雪村サキとの関係性が微笑ましいものとなっていきます。

主人公は生きることの悲しさや絶望を感じながらも、雪村のためにできることはないかと、彼女の死の真相をつきとめます。彼女の理不尽な死は悲しいものでしたが、彼女本人はいつも明るく、生きていた頃と変わらないものでした。残された手紙にも、悲壮感などはなく、主人公への感謝と、一緒に暮らした楽しい日々が、幸せだったことが書かれています。

絶望がありながらも、この世界は美しいのだと思える彼女の言葉は、救いがあるように思います。お互いに支え合った、ほんのすこしの時間が、とてもかけがえのないものに感じます。

回答者:20代 女性

本で出逢った名言・名セリフ

今ここで、きみに言いたい。同封した写真を見て。きみはいい顔している。際限なく広がるこの美しい世界の、きみだってその一部なんだ。わたしが心から好きになったものの一つじゃないか。

失はれる物語 より

失はれる物語
著者: 乙一
ISBN:4044253064 / 発売日:2006-06
出版社.: 角川書店

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