理性は規律に従って食物をゴミとして捨てさせ、本能は欲望にまかせ、ゴミを食物として拾い食わせた。そのどちらもが、まぎれもな… | 本で出逢った感動の名言

食う寝る坐る永平寺修行記
著者: 野々村 馨
ISBN:4101231311 / 発売日:2001-07-30
出版社.: 新潮社

永平寺での厳しい修行生活の中、雲水たちは規律に従って、たとえ自分が空腹であっても残った残飯を全て捨てなくてはなりません。ところが空腹に耐えかねた当番の雲水たちは残った残飯を思わず自分の口に詰め込んでしまうのです。規律と本能の狭間で葛藤し続ける雲水たちの苦悩を表現するこのくだりは、修行をしている雲水に限らず人間の一番根本的な生きる欲求と言うものを赤裸々に思い知らせてくれます。

永平寺の修業と言えば静かな座禅を思い浮かべてしまいます。しかし悟りを求める修業は実はそれだけではなく、このような残飯を捨てる仕事によって、もっと身近な自分の生きる欲求を思い知らせ、その力の強さを身をもって知ることから始まるのです。お釈迦様もお腹が空くんだ。この数行を読んで何かスッと肩の力が抜ける思いがしました。

回答者:60代 男性

本で出逢った名言・名セリフ

理性は規律に従って食物をゴミとして捨てさせ、本能は欲望にまかせ、ゴミを食物として拾い食わせた。そのどちらもが、まぎれもない人間の仕業だった。

食う寝る坐る 永平寺修行記 より

食う寝る坐る永平寺修行記
著者: 野々村 馨
ISBN:4101231311 / 発売日:2001-07-30
出版社.: 新潮社

あわせて読みたい