【書評】何かに躓いた時、自分自身と向き合うヒントが散りばめられた一冊 | 太陽のパスタ、豆のスープ
結婚を考えていた恋人と別れ、仕事も失くし、住んでいた家も離れ、自分には何もなくなってしまったと絶望の中にいた時、ふらっと立ち寄った書店でこの本に出会いました。突然婚約を解消された主人公の明日羽も、まさに失意のどん底にいたので、自分自身と重ね合わせながら読み進めていくことになりました。
自分が何をしているのか、何をすればいいのか、どういう毎日をどんな風に生きていきたいのか…。食べ物、着る物、付き合う人、働き方、住む場所など、全ては自分で選んだもので、自分がつくられていく。時に食べ物に例えられる人生や恋について、作者の繊細な言葉と感性が、胸に刺さる場面もありました。自分自身と向き合うというのは、非常に辛いものでもあると思います。
それでも少しずつ自分を見つめ直していく明日羽の姿に、とても励まされました。非常にさわやかな読後感で、あたたかい涙がそっと流れるようなやさしい感動を味わいました。何か大切なものを失ったり、壁にぶつかったりした時に、大切に読み返したい1冊です。
回答者:20代 女性
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