【書評】犯罪を知る上でも人間を知る上でも最重要の一冊 | 模倣犯

模倣犯1
著者: 宮部 みゆき
ISBN:4101369240 / 発売日:2005-11-26
出版社.: 新潮社

私はこの小説を読んで、メディアで報道される事件を考える上で、自分自身では思いもよらなかった視点に気付かされました。

被害者、加害者、被害者遺族、加害者の家族、取材記者、そして事件を傍観する者……『模倣犯』は、多角的にカメラを動かすように、連続誘拐殺人事件に関わる人々それぞれの視点から事件の本質をあぶり出していく構図になっています。この世で起こることは良いことも悪いこともすべて人間の手によるものなのだということの奥深さを実感しました。

「人間とは何か」を考える上で、とても意義のある小説だと思います。大長編小説なのに、文章がとても読みやすいおかげで、夢中になって短い期間で読むことができました。これを読んでいる間、莫大な物語のなかに自分の身をおくことができて幸せでした。

小説を読むということは、自分が現実の世界で体験する出来事の外側にある未知の世界に触れるきっかけなのだと改めて実感しましたし、重厚な物語を楽しむという読書の原点に立ち返ることができて楽しかったです。

回答者:30代 女性

模倣犯1
著者: 宮部 みゆき
ISBN:4101369240 / 発売日:2005-11-26
出版社.: 新潮社

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