鬼虫たちの人間だったころの記憶 | [書評]エスケヱプ・スピヰド 7巻
決戦
戦い方は、人それぞれであり。また、その戦いの種類はその人たちの数だけあると感じるシリーズ最終巻です。鬼虫と甲虫たちの決戦が鬼虫・八番式≪蜉蝣≫無明の柊が時間をとめた土地落地で起きていた。
柊が死んでしまった主脳の代わりに副脳が動かしてた六番式≪蟋蟀≫鈎行の庵。
そして甲虫側にその機能だけを利用されていた七番式≪蟻≫霖鬼の楓。
同胞を眠らせる形で、自身も眠りについた柊。
彼らを送った九曜は叶葉を助けるために動き、また剣菱も戦いを続けていた。久留守を副脳にすることで動けるところまで無理やり回復させた巴も、落地へと急いでいた。
それぞれの戦い
――健闘ヲ祈ル。
叶葉と鴇子を助けるために、菘と菊丸もまた落地へとその身を運んでいた。
普通の少女だから、置いていかれる菘。旧式からの改造を重ねてきた菊丸。
そして、本来であれば取るに足りない一兵器でしかない機会兵たちも思いはあった。
鬼虫たちがいなくなってから九曜の相棒として歩いてきた菊丸。
友であり、信頼する九曜を助けるため。そして鴇子を守るためにぼろぼろで進む菊丸を生かそうとする機会兵たち。
そして、追いかけた菘は彼らの想いをかき集め瀕死だった菊丸を治し、そのあとを追いかける。
竜胆と板杖というもと兄弟のふたりの戦いは熾烈を極める。
剣菱は烏帽子を倒し、九曜は朧となった叶葉のもと主人・伍長と戦う。
久留守は日足を助けようとし、鴇子は姉と話をしそのこころを知ろうとするのだった。
決着が着々とついていくそのただなかで、甲虫が生まれた理由とその思いが過去にとらわれた人たちから語られる。
先へ・・・
頂いていく
いってきます
多くを失った戦いには決着がついた。
そして、巴は預かっていた鬼虫たちの人間だったころの記憶を返すのだった。
鬼虫たち、そして久留守は帝国へとその身柄を引き渡されることになる。
いってらっしゃいとは言えない叶葉と、戻ってくるという九曜。
別れを繰り返しながら先へ進む。
九曜たちは帝国を出たあと鬼虫たちや、眠りについた柊たちとも別れを告げる。
尽天へ戻った叶葉は数カ月後、迎えに来た九曜ー宿真一と再び出会う。