古典の入門にガリア戦記をすすめる3つの理由 | [書評]ガリア戦記

ガリア戦記
著者: カエサル
ISBN:400334071X / 発売日:1941-02-05
出版社.: 岩波書店

たまには古典を読んでみたい、でも多すぎて何を選べば良いのかわからない。

そんな方におすすめしたいのが、ユリウス・カエサル著「ガリア戦記」だ。カエサルと言えばかのローマ帝国の基礎を築いた、誰もが知る世界史上の偉人である。

このガリア戦記は、カエサルが躍進するきっかけとなったガリアとの戦いを、カエサル自ら著したものだ。今回はこのガリア戦記を古典入門者におすすめする理由を3つに分けて紹介したい。

1.本筋が明確で脱線が無い

古典、特に歴史について書かれた本は、本筋以外にも様々な挿話が挟まれて話が掴みづらい事が多々ある。しかしこのガリア戦記は、「カエサル率いるローマ軍がガリア人(現代のフランス、ドイツ、ベルギー周辺に住んでいた民族)と戦う」という本筋のみを書いているため話が非常に掴みやすい。

2.視点が固定されてわかりやすい

こう述べたカエサルは話の終りに、このようなことで士気を落とすな、地形の不利が生んだことでそれを敵の武勇などに帰してはならない、と兵士を励まし、前に決めたように出発する考えで軍団を陣地から出し、適当な場所に戦陣を布いた。

ガリア戦記は元々、カエサルがガリアでの戦いの様子を本国に伝える報告書として書かれたものである。そのため上記のように「カエサルは~」と、基本的にカエサル本人に視点を置いて話が進んで行く。他の人物に視点が移る事があまり無いため、混乱する事無く物語を追って行く事が出来る。

3.文体が簡潔で読み易い

上記のように報告書として書かれているため、ガリア戦記の文章には修飾が余り無く非常に読み易い。古典を読み慣れていない方でも無理なく文を理解し、読み進める事が出来るだろう。

あたかも自分がローマ軍に従軍しているかのような

上記のようにガリア戦記は古典にあまり親しみの無い方でも読み易い文章となっている。最初は聞き慣れない地名や人名に戸惑うかもしれないが、読み進めて行くと紀元前のヨーロッパの鬱蒼とした森林が目の前に広がり、あたかも自分がカエサル率いるローマ軍に従軍しているかのように感じられる事だろう。興味が出たなら是非本書を手に取り、古代の世界を感じてみて欲しい。

ガリア戦記
著者: カエサル
ISBN:400334071X / 発売日:1941-02-05
出版社.: 岩波書店

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