飛行機事故の事例、55件に学ぶ再発防止策とは | [書評]飛行機事故はなぜなくならないのか 55の事例でわかった本当の原因


飛行機事故の事例より、安全性が高まっている事実をまず知ろう

人生最初に飛行機に乗る時って怖くないですか?子供の時なら面白いかもしれませんが、私が高校生の時に最初に乗った時にはビビりまくりでした。数回乗ったら慣れましたが。飛行機に乗るのが怖い方には、あまり本書はお勧めしません。

本書は、最初に飛行機事故の数値の分析を記述し、そのあとに55の事例について内容を記載しています。残念ながら、また当然ながら、事例から原因を分析しても、今後の対策として活かせるもの活かせないものがあります。しかし、冒頭の「はじめに」に以下のように著者は述べて、本書の意義を示しています。

旅客機による重大事故の発生率は年々減る傾向にあるが、残念ながら事故はゼロにはなっていないし、旅客機が存在する限り、ゼロが続いていくこともあり得ない。ただ、それをゼロに近づけようという努力は、関係者によって常に続けられていて、制度や技術などは常に更新されており、安全性は高まっている。

本書の構成

本書は2015年4月の発行で、データは2013年間のものが使用されていますが、2014年のマレーシア航空機の撃墜及び行方不明事件にも触れています。

第1章で、まず飛行機事故の定義を記述しています。例えば、「重大インシデント」という言葉をニュースで聞きますが、その定義が書かれています。第2章では、ジェット旅客機の事故率と、その推移、原因、地域格差について書かれています。第3章では、離着陸時に注目して、本当に離着陸時の事故が多いのか、その内容はどういうものか書かれています。

第4章では、操縦装置とエンジンの進歩について書かれています。ここで重要なキーワードとして「3つの操縦軸」である、ロール軸、ピッチ軸、ヨー軸が書かれています。これらの軸を調節する「3舵の調和」が重要であることと技術的進歩について書かれています。第5章では、未だ消息不明の事例と空中分解の事例について書かれています。2014年3月8日のマレーシア航空370便の交信記録などが示されています。第6章は飛行機の機種に対する事故率の推移、第7章は安全装置についてか書かれています。第8章は空中衝突、第9章は犯罪、第10章は撃墜についてです。

日本人ならよく知る事例以外について解説

日航機御巣鷹山墜落事故や米国同時多発テロについては、詳しく記述されていません。それ以外の重要な事故について、あるものについてはボイスレコーダーの会話記録を参照しながら原因を解説しています。

私の注目ポイント

この本の意義は、事故の事例・原因と、飛行機の進化による対策と、その限界について併記してあることにあると思います。どんどん飛行機は安全になっていますが、どうしても事故ゼロにはならないことがわかります。

最後に

事故ゼロにはならないとは言っても、安全装置は進化していますし、(まだ)自動車より安全というのは確かなので、フライトを皆さん楽しみましょう。


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