中学生向けだが、大人こそ読むべき問題解決の方法 | [書評]世界一やさしい問題解決の授業―自分で考え、行動する力が身につく


子供向け?いや、年齢を問わない一冊

本書の英文タイトルが表紙に書いてあります。「problem solving kids」。つまりkids対象で、文章も中学生を想定した分かりやすい書き方になっています。しかし、そうではありません。これはビジネスパーソンが読んでも全く不思議ではない名著です。

「problem solving(問題解決)」は、コンサルティングの方には必須スキルですし、マネージャクラスなら必ず直面することです。本書から得られるものをまえがきで著者は端的に書いています。

つまり、自ら責任を持てる人生、後悔しない人生を生きることができるようになるのです。
どんなに大きく複雑に見える問題でも、いくつかの小さな問題に分解すれば解けるのです。

著者は、有名なコンサルティング会社「マッキンゼー・アンド・カンパニー」で働き、ハーバード・ビジネススクールを出ています。本書のまえがきに次のように書かれています。

この本が紹介する問題解決の手法は、ぼくがかつて働いていたマッキンゼーという経営コンサルティング会社で活用されているものを基にしています。
(中略)
この本では、最低限必要なものに絞って、シンプルに紹介していきます。

この本の章立ては、学校を真似て、1限目から3限目まで書かれています。それぞれの表題は次の通りです。

1限目 問題解決能力を身につけよう
2限目 問題の原因を見極め、打ち手を考える
3限目 目標を設定し、達成する方法を決める

表題を読んだだけでも、大人でも使えるじゃん、とわかりますね。本の書き方は、中学生でもわかるように読み物のようになっていますが、そこに書かれていることは大人でも重要な内容です。

1限目 問題解決能力を身につけよう

この時間では、問題解決キッズが登場し、ツールとして「分解の木」を示し、問題の明確化を行うことについて書かれています。分解の木は、ブレイクダウンで原因を突き詰めるのにも有効ですが、マインドマップのようにアイデアを広げたりするのにも便利です。

2限目 問題の原因を見極め、打ち手を考える

この時間は、中学生バンドを立て直すというストーリー仕立てになっています。仮説・検証型の分析を行い、実行プランを立てます。ここでのポイントは、最適な打ち手を選択することにあります。実行の容易性と効果から分析しています。

3限目 目標を設定し、達成する方法を決める

ここではタロー君がパソコンを手に入れる目標を達成するための行動が書かれています。この時間のコラムには、「意思決定ツール」について書かれています。取捨選択に困った時に使えるツールですので、ぜひ知っておいたほうが良いと思います。

最後に

全体的に、文章が簡潔であり、可愛い絵やグラフ、図を適宜使用して書かれているため、非常に本書は読みやすいです。

「あとがき」で、著者から読者の親や教師への提言が書かれています。米国スタイルの教育についても触れています。個人的には、米国スタイルが最適だとは思いませんが、お子さんをお持ちの方は、ここで、一度はどのようなものか概要だけでも知っておいて欲しいと思います。


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