AWS機能と使い方についての入門書 | [書評]Amazon Web Services実践入門

Amazon Web Services実践入門
著者: 舘岡 守
ISBN:4774176737 / 発売日:2015-11-10
出版社.: 技術評論社

AWSのわかりやすい実践本

本書は、世界最大のクラウドサービスのAmazon Web Services(AWS)の解説及び運用するための手順を解説した実践本です。AWSは、豊富な機能を持っていますので、最初はとっつきにくいものでした。

しかし、実務で使用している企業担当者の評判は高いです。みなさんがもしインターネットのサービスを提供する場合には、AWSの全貌を理解する必要があります。その上で、機能を取捨選択し、運用します。そのために必要な情報が本書に記載されています。

本書の内容

本書に記載のAWSの機能は以下の通りです。
・EC2(仮装サーバ)
・VPC(仮装プライベートネットワーク)
・Route53(DNS)
・S3(オブジェクトストレージ)
・CloudFront(コンテンツデリバリネットワーク)
・RDS(マネージドRDB)
・ELB(ロードバランサ)
・CloudWatch(監視)
・AutoScaling(自動スケールアウト/イン)
・IAM(アクセス権限管理)
・Billing(請求・支払)

メジャーどころのEC2やS3以外に基本的な機能が抑えられています。本書の「はじめに」にも記載されていますが、紙面の都合で全てのサービスが記載されているわけではありません。ただ、通常運用するにはまず十分でしょう。

AWSの運用は、Webのマネジメントコンソールを使用する方法と、コマンドライン(CLI)を使用する方法がありますが、両方について記載があり便利です。最後のBilingは費用の請求です。AWSは従量制ですので、ユーザに提供するサービスではありませんが、お金のことなので、常に留意しておくことをオススメします。変な課金があったら即Amazonに問い合わせましょう(経験談)。

AWSならではのメリットを十分に解説

AWSは、従量制ですので利用状況に応じて課金が発生します。例えば、EC2を利用しているのであれば、スケールアップ、スケールダウン、スケールアウト、ディスクボリュームの追加などは、課金に直結しますので、利用しているとドキドキするところです。これらの点についてもその方法が細かく記載されていますので、安心です。これがリソース固定のVirtual Private Server(VPS)ですと、なかなか簡単にはいきません。

私の注目ポイント

まず、「第5章 ネットワークの設計と設定(VPC)」の 「5.3ンターネットVPNによるVPCとの接続」です。Virtual Private Cloud(VPC)を作成しながらも、イントラネットのようにセキュアに使用したい場合には、Virtual Private Network(VPN)を利用したいものです。その方法が解説されています。

また、「第6章 画像の配信(S3/CloudFront)」の「6.3 EC2からのデータ移行」も良いです。EC2を動的コンテンツ用にして、S3に静的コンテンツを移動する方法が書かれています。うまく使用すれば費用削減にもなることが書かれていますので一読すると良いでしょう。

最後に

私は、主に固定料金のVPSを利用しています。サービスがもしヒットしてサーバに負荷がかかったらどうしようと気になるところです。従量制クラウドサービスを検討するなら、まずはAWSでしょう、ということで、インターネットでのサービスを考えておられる方に本書をオススメします。余談ですが、AWSは1年無償利用期間があり、サポートもAmazon Web Services, Incが電話などで対応してくれるので、評価してみる価値は高いですよ。

Amazon Web Services実践入門
著者: 舘岡 守
ISBN:4774176737 / 発売日:2015-11-10
出版社.: 技術評論社

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