西洋の古典怪談を集めた珠玉の作品集 | [書評]憑かれた鏡 エドワード・ゴーリーが愛する12の怪談


エドワード・ゴーリーが選んだ怪談作品集

特徴的な画風で知られるエドワード・ゴーリーが選んだ怪談を集めた本です。

12の怪談作品が集められており、それら一つ一つの作品にエドワード・ゴーリーによるイラストが描かれています。怪談の不可解な不気味さと、エドワード・ゴーリーの独特なイラストがとてもマッチしており、互いの魅力を引き立て合っていると感じました。本を読み終わってから再度イラストをみてみると、物語の余韻と合わさって背筋がゾクゾクとするような寒気を感じます。

収録されている作品は有名なものが多いようなので、怪談もの初心者の方、もしくはエドワード・ゴーリーのファンの方に特にオススメの作品です。

じわじわと鳥肌が立つような、典型的な怪談作品

本書に集められた怪談には、目新しさはないと言ってもいいかもしれません。

話自体も、どこかで聞いたことがあるような有名なものが多いような気がします。初めて読む話だとしても、展開の予測がつかないスリルなどがある訳ではありません。ですが、むしろ先の展開がある程度予測できるからこそ、読みながらじわじわと恐怖を感じることが出来る作品集となっているのではないかと思います。

読み手の想像力が合わさることで完成される物語と言えるかもしれません。

理由も答えもない恐怖を味わうことが出来る作品集

怪談ということで、本書に集められた物語には筋が通っているミステリーのようなものとは違い、どうしてそんなことが起こってしまったのかであったり、結局どうなってしまったのか結末が謎のまま終わってしまったりなど、説明されない部分が多々あります。

しかしだからこそ、いろいろなことを想像して恐怖を掻き立てられてしまう、そんな物語が集められたアンソロジーとなっています

ストーリー自体や出来事の描写に、どこかあいまいな部分が残っていて、そこを読者が想像力を駆使して補って行く過程にこそ、怪談を読む醍醐味がある。

このように本書の解説に書かれているように、読者はあえて残されているあいまいさにもやもやしながら、解明されることのない恐怖を味わうことが出来る、そんな作品なのではないかと思います。


あわせて読みたい