無料の商品を提供してマネタイズする方法 | [書評]フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略

フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略
著者: クリス・アンダーソン
ISBN:4140814047 / 発売日:2009-11-21
出版社.: 日本放送出版協会

昔からフリー(無料)はマーケティングに利用されていた

ゼラチンを売るためにレシピ本を無料で配る。
カミソリの刃を売るために柄を配る。

以前から、何かを売るために無料の何かを利用してシェアを取るというビジネス戦略がありましたが、インターネットが張り巡らされた情報化現代ではより無料のものが溢れています。その無料のものたちは私たちにどんなメリットとデメリットをもたらしてきたのか。

フリーウェアとシェアウェアの攻防や、データの不正コピーや偽ブランドの恩恵など、事実を基にしたフリーを巡る変遷が非常に面白かったです。また、フリーミアムの概念も教えてくれます。一部のロイヤルカスタマーのおかげでほとんどの人が無料でサービスを使えるような仕組みが分かります。

お金の支払いの方向が変化している

賢い会社は通常のお金の流れを逆にする

トムソーヤの物語でもあるように、ペンキ塗りの仕事が非常に楽しいものであると思わせることができれば、その仕事をお金を払ってでもやりたくなる。それは人間の感情に合わせて感じるもので、賢い人は現代でもモノやサービスを無料にし、別なところから報酬をもらう。そのお金と価値の流れをコントロールすることで利益を得ている。

また、フリーウェアなどに渦巻く人間の心理は利他主義のように見えていて、本来は啓発された強い利己主義であるそんな経済の流れを教えてくれます。お金以上に賞賛や経験、機会などに価値を見出す人が増えてきています。

潤沢な資源と希少性

ものや情報は溢れることで潤沢になっていく。希少性が薄れたものに対してお金を払わなくなり、フリーになっていく。より価値の高いものが欲しくなり、そして新たな希少性が生れていく。だから、フリーは経済を衰退させるのではなく、形を変えていく。

フリーになることは問題ではなくうまくそれに合わせて変化していくことが重要であることを教えてくれます。無料になるルールを理解していれば次に何がフリーになってしまうのか、その周囲にどんな新しい価値が生れてくるのか。嗅覚を敏感にさせる為の知識が詰まっていて、それは現代を生きていく上で非常に強い力になると、感じる一冊でした。

フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略
著者: クリス・アンダーソン
ISBN:4140814047 / 発売日:2009-11-21
出版社.: 日本放送出版協会

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