数学マーケティングを活かすために | [書評]確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力
この本は開業年をピークに低迷していたUSJを再生させたマーケター森岡毅さんと、その盟友であるアナリストの今西聖貴さんによる共著です。
2人はマーケティングを直感やひらめきといったフィーリングに頼ったやり方ではなく、サイエンスとして理論に基づいた手法で行っていくことを理念に数学や統計学を用いて見事USJをV字回復に導きました。本書はその裏側でどのような武器を使って、またどのような考え方を軸として計画を推し進めてきたのかを惜しげもなく披露してくれています。
数値での分析は魔法ではない。手品だから誰でもできる
それはマジック(魔法)ではなく、本当はタネも仕掛けもあるマジック(手品)なのです。
森岡さんはマーケターとして64個ものプロジェクトに携わり、そのうち期待通りにコストを回収し会社に収益をもたらしたものが63個、さらにそのうち半分以上が期待値を大きく上回った成果を残されています。
これらもすべて勝つための確率を数学的な手法を使って上げていった結果で、その証明から考え付くに至った思考過程が丁寧に解説されていて、これをしっかり噛み砕いて理解することができればかなり自分の力になるということを感じ取れます。
サイコパス性が高いということ
意識と努力で冷徹な意思決定はできるようになる
社会的に活躍している人にはサイコパス性の高い人が少なくないといいます。それは目的に対して純粋に正しい行動を感情という不安定な要素を排して実行することができるからです。
森岡さんは正規分布の図を用いて純粋に正しい決定を下すことの重要さを説いています。そしてそれは経験によってある程度のレベルまでもっていけるというのです。これは非常に勇気が持てる話で、感情や人間関係に流されがちな人が自分を変えるための後ろ盾になってくれます。
組織の資源を増やす
同じ特徴がある文脈では吉と出て力を発揮し、別の文脈では凶と出て弱点となります。
経営資源は常に不足していますが、人には活きる文脈が必ず存在し、それを見つけ出すことで人的資源という会社における最強の武器を強化することができます。そしてそれがどれほどの価値を秘めているのかを語ってくれています。これはおそらく人だけに限らず、モノやデータなどあらゆるものに適用できることだと思います。
こうした意識づけを常に忘れず心がけることで優秀なマーケターとしての道を歩むことができるのかもしれません。
数学的な理論説明を読み飛ばしても本書は理解できるようになっているので、数字を扱うことが苦手な人であっても問題ありません。それぞれに合った取り込み方をすることで様々な活き方をする一冊だと思います。非常に内容が濃いです。