ORマッパのCore Dataに関する貴重な書籍| [書評]Swift+Core DataによるiOSアプリプログラミング

Swift+Core DataによるiOSアプリプログラミング
著者: 西方 夏子
ISBN:4839954887 / 発売日:2016-02-27
出版社.: マイナビ出版

オブジェクトデータ管理フレームワークの解説本

Core Dataは、iOSプログラミングで使用することができるオブジェクト管理フレームワークです。

単純には、SQLiteなどのデータベースにオブジェクトをORマッピングするフレームワークです。iOSの開発ツールでは、オプションとしてCore Dataを使用することができます。

ただ、使わなくてもアプリはできるので、Core Dataをよく知らない人は多いでしょう。大量のオブジェクトを扱うようなアプリを作成する人は、知っておいて損はありません。Core Dataだけで、408ページもの本ができることから、著者の博識が伺われます。

本書の構成

本書の構成は、非常にシンプルです。

・Core Dataの概要
・Xcodeの使い方 (Core Dataを学ぶ方なら既に知っているかも)
・Core Dataの全体構造と関連モジュール
・チュートリアル (ここがほとんど)

「Core Dataの全体構造と関連モジュール」が知識として勉強する中心となっています。詳細に解説されており、読んでいるだけでも1通りのことは理解できるものと思います。ただし、やはり実際に使ってみないとわからないので、そのあとに、チュートリアルという形で、Core Dataの個々の扱い方がわかるようになっています。

Xcodeは、Core Dataのテンプレートをオプションとして自動的にプロジェクトに組み込むことができるようになっています。本書では、この機能を使用せず、Core Dataを、コーディングを使って1から組み込みます。これは、Core Dataを十分に理解して欲しいという著者の意図です。チュートリアルで1からソースを書くのが面倒な方は、サポートサイトからプロジェクト1式をダウンロードすることができますので、ご安心ください。プロジェクトの中のソースを見ながら、「Core Dataの全体構造と関連モジュール」の項目で描かれているCore Dataの構造と使い方を確認することができます。

直接Core Dataに関係するものではありませんが、開発には必要になる並列処理、パフォーマンス、デバッグについても解説されています。Core Dataは、スレッドセーフではありませんので、並列処理で作り込む際に非常に助かります。

最後に、iCloudをCore Dataのデータストアとして使用する方法が書かれています。これは非常に勉強になりますし、iCloudを使用することは多くのメリットがありますので、オススメです。

貴重なCore Dataに特化した本

Core Dataは、他のiOSプログラミング本であまり触れられないマイナーな機能だと思っています。ちょっと使い方が面倒だというので、データ保存するだけなら、もっと楽な方法を採用されているiOSプログラマも多いでしょう。Core Dataに特化した本というだけでもポイント高いです。Core Dataは奥が深いことがわかりました。使い方さえ理解すれば、オブジェクトの多いアプリを作るなら、使用することを考慮することは損しません。

単機能に特化した専門書も揃えておきたい

iOSプログラミング本は、iOSのバージョンがアップするたびに「はじめての…」的な本が出てきます。それらの本は、アプリ開発で普通レベルに必要な機能を説明しているものが多いです。しかし、iOSも成熟してきたので、最近は、本書のように1機能に特化した解説本が、ぼちぼち出てきたように思います。これからもそのような本が増えてくるかも知れません。

Swift+Core DataによるiOSアプリプログラミング
著者: 西方 夏子
ISBN:4839954887 / 発売日:2016-02-27
出版社.: マイナビ出版

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