悪夢のメルヘン | [書評]断章のグリムXIV ラプンツェル・上
悪夢は続く
どこに幸せがあるのか、責任はだれにあるのか。
得られない幸せが探しているときにほど遠のいていくとこの話から感じました。
しあわせの王子の泡禍から戻った蒼衣たち。
関東全域の泡禍の被害者の死体を処理していた葬儀屋。
何度も顔を合わせた彼を、断章で消してしまった蒼衣はその痛みを抱え込んでいた。
倒さなければならない敵
『みんな、アリスを甘く見てお城に引き入れるから、酷い目に遭うのよ』
関東中のロッジから恨みを買うことになってしまった蒼衣。
望んで消したわけでもないけれど、その結末に蒼衣は深い罪悪感を抱えていた。
はからずも死者生き返らせることができる葬儀屋のちからで、心の平穏を守っていた被害者たちの多くも心の平安を乱していた。
そうした被害者のいるロッジから依頼がきて、蒼衣と雪乃。そこでは『ラプンチェル』が始まった。
丘の上にいるもの
窓から生えた腕が、妻の左手を握っていた。
もともとは、小さな泡禍を嫌がらせのためだけに蒼衣をロッジだったが泡禍は膨れ上がった。
童話の形をとるまでに膨れ上がった泡禍の中心にいるひとつの家族。
夫は昔、妻の髪がきれいだと触れてみたくなって階段でその髪を引っ張って転落させてしまった。
生まれた次女も、転落して死んだ。そのせいで、妻は部屋からも出れない。
なんとか葬儀屋の断章でつないでいたものが解かれてしまった。
そして。
入り込んだ泡禍は、長女の友人を殺し、そして拡大を続ける。
あわせて読みたい