夜空を見上げて考える | [書評]夜空の下で

夜空の下で
著者: 益田 ミリ
ISBN:4087454231 / 発売日:2016-03-18
出版社.: 集英社

宇宙や夜空に思いを寄せながら日常を生きる人々

1話につき31コマで構成される全24話のショートコミックエッセイの形をとっています。その話のどれもが、宇宙や夜空に思いを寄せながら日常を生きる人々のちょっとしたお話です。

流れ星が見えたけれど、何を願えばいいかとっさには出てこなかったり、天の川が見えない都会の空を寂しく思ったり。素朴でなんでもない話だけど、読んでいて「あぁ確かにそうかも…。」と思わされてしまうようなお話たちの集まりです。

そしてその1話1話に薩摩川内市せんだい宇宙館に勤める安藤和真さんの宇宙に関するコラムが挟まれていて、そちらも興味深く読めると思います。

時間を超えてつながっているお話したち

それぞれのお話はとても素朴で本当になんてことない話かもしれません。何気ない言葉に傷つけられたOLさんがこの空のどこかにあるかもしれないもう一つの地球に思いをはせたり、宇宙の時間からしたら自分たちの生きている時間なんて「無」に近いね…なんていう話をしたり。でも、1コマ1コマの空気感や言葉たちがとても優しいのです。

24話のお話は全てつながっているわけではなく、1話1話の完結型です。でも、読み進めていくと所々でつながりが見えてきます。この人は何話か前の子が大人になったのかな?このお母さんはあの高校生の未来の姿か!なんてことに気付けるともっと楽しいかもしれません。

時間を超えてつながっているお話したちですが、何年たっても、子から母になっても、宇宙や星に関する疑問は変わらない。それだけ、宇宙は人の身近にあって、魅了し続けるということなのかもしれません。

読んでいると宇宙への興味が増してくる、宇宙コラムたち

宇宙館にお勤めの専門家の方が24本のコラムを載せています。はじめてロケットの打ち上げを見に行ったときのことや、新しく見つかった星への命名権の話、自身の好きな星雲の話などが毎回見開き1P分で書かれています。

多くの人がちょっとだけ聞いたことがあるような、つまりは少し興味を持てそうな話ばかりです。そして専門的でないことが読みやすさの理由です。わかりやすく書かれている上に筆者の宇宙への愛がとても伝わってくるので、読んでいると宇宙への興味が増します。私自身、ロケットの打ち上げを是非見に行ってみたくなりました。

夜空の下で
著者: 益田 ミリ
ISBN:4087454231 / 発売日:2016-03-18
出版社.: 集英社

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