私のカンはその瞬間、ぞっとするほど冴えていた。 | 本で出逢った感動の名言

キッチン
著者: 吉本 ばなな
ISBN:4041800080 / 発売日:1998-06
出版社.: 角川書店

本で出逢った名言・名セリフ

私のカンはその瞬間、ぞっとするほど冴えていた。

満月 より

そのセリフに感銘を受けた理由

この言葉は、吉本ばななさんの「キッチン」の続編。「満月」という短編の中にある、主人公みかげの言葉です。両親とはやくに死に別れ、祖父母に育てられたみかげ。やがて祖父が死に、最後の肉親である祖母も死んでしまいます。そんな天涯孤独になった彼女を孤独の沼から救ってくれたのは、風変わりな田辺父子。「キッチン」ではそんな田辺父子とみかげとの不思議であたたかい生活が描かれています。

「満月」は、田辺父子のお父さん、おかまのえり子さんが死んでしまってからのお話、残された田辺父子の息子雄一とみかげとの物語です。二人は男女として惹かれつつも、哀しみや孤独を共有しすぎて、宙ぶらりんな関係から抜け出せません。そんな自分たちの関係を脱する最後のチャンスを第六感で感じとったみかげの言葉が「私のカンはその瞬間、ぞっとするほど冴えていた。」です。その後二人は、新しい一歩を踏み出すのですが。人生において誰もが、みかげが感じたような冴えたカンを実感する場面があるように思うのです。

その瞬間について表現したこの言葉があまりに美しすぎて。私はこの言葉が大好きです。

回答者:40代 女性

キッチン
著者: 吉本 ばなな
ISBN:4041800080 / 発売日:1998-06
出版社.: 角川書店

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