旅をすると少し、自分のことが好きになれる

私は存在が空気 より

「私は存在が空気」は6編のお話からなる短編集です。共通しているのは小学生から大学生までの学生の主人公が超能力などの不思議な力を持っているということ。この中で旅に出たくなるお話は1話目の「少年ジャンパー」です。

これは、醜い顔を持ち、引きこもりになってしまった男の子が突然、ジャンプしただけで行きたい場所に瞬間移動できる能力を持つお話です。顔のせいでクラスのみんなから嫌われ、妹にも嫌われてしまっている彼は、自分に自信を持つことができず、人と会うことを避け、部屋に引きこもってしまいます。しかし、そんな彼が瞬間移動の能力を使うことで、言葉も通じない世界を旅し、自分の殻を破り、自分を変えることに成功するのです。言葉も通じない場所を一人で旅することは勇気がいります。

楽しいことよりも、心細くて心配で怖いことの方が多いかもしれません。でも、そんな旅を自分の力だけで成功させられたら、きっと自分が好きになれるはずです。少しかもしれませんが、自信が持てるようになるはずです。

この小説は、「どうせ私なんて…」と殻に閉じこもってしまっている人、教室の光の当たらない隅っこで学校生活を送っている人にぜひ読んでもらいたい本です。近場でもいい。短くてもいい。「自分を変えられずにいるのなら、一人旅をしてみましょう」と心にささやいてくれる、そんなお話です。

回答者：20代 女性