もっともらしい理屈と重さと暗さがたまらない 亜人7巻 | [書評]亜人(7)

亜人(7)
著者: 桜井 画門
ISBN:4063880982 / 発売日:2015-11-06
出版社.: 講談社

人気SFアクション最新刊

わたしは、TVアニメでこの亜人を初めて内容を知り、その衝撃的な面白さに惹かれて、1巻から一気読みしてしまいました。

本刊は、その人気コミックの亜人の最新刊となります。衝撃的なほどの面白さという点で言えば、若干パワーダウンしてきた感は否めませんが、それでもこの物語の裏の主人公ともいえる重要人物 ”佐藤” の過去がついに明きらかにされていきます。

佐藤は、なぜあれほどまでに強くそして狂気にみちているのかその秘密が示されていき、このことによって、正義が主人公の永井サイドにあるということが、はっきり示されていくことになります。そういう意義付けという意味でもこの物語が多少中だるみしようともこの辺りではっきりと示されなければならない重要なファクターでしょう。

なにが正義でどちらが悪なのか、それすらも曖昧な物語

実際、佐藤が狂気に満ちていて、単純に興味と楽しみのために子供のころから動物を殺しまくっていたという記述がなければ、だれが正義の味方なのかわからなくなってしまいそうなこの物語。

実際、主人公永井が属している政府側の戸先のチームは、国家側政府側というの人間たちというだけで、やっていることは亜人は人間ではないという風評をながしマインドコントロールしておいて、亜人を非人道的な方法で苦しめつつ、金儲けをしているというそれこそ悪の手先のようなことをやり続けてきた集団なのである。

そして、それに敵対するのは人間らしく扱って欲しいと考えて行動する亜人たちの集団。自分たちの自由と幸せのために戦う亜人たちこそ正義のために戦っているのではないのか?たしかに、自分たちの自由のために多くの人を殺していく様は許されないことであるが、自由のために多くの血が流れることがあることは歴史に示されていること。

この正義の所在の曖昧さが、物語全体を暗く、陰湿な感じに貢献しているのだろうかなどと考えたりします。わたしはその暗く、陰湿な感じが大好きなのですが。

そして、いよいよ次巻あたりから大きく物語が動いていきそうな予感が感じられます。

亜人(7)
著者: 桜井 画門
ISBN:4063880982 / 発売日:2015-11-06
出版社.: 講談社

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