これは主人公ウィルが「パパはいい人間？パパは幸福じゃないの？」と投げかけた疑問に対して父親チャールズが息子に言ったセリフです。ちょうどこの本を読んでる時、対人関係に悩んでました。その頃はKY(空気読め)なんて言葉が流行っていた時分でした。周りが何で笑っているのかわからず私はよくKY扱いされていました。

チャールズのセリフにもありますが「面白おかしく笑う・面白くないのに無理に笑う苦笑い・周囲の空気を読んでつくり笑いをする・泣きながら笑う」など、笑いには色んな種類があります。無垢な子どもは「楽しい＝笑う、悲しい＝泣く」という素直な反応をするでしょう。しかし大人になると「楽しい≠笑う、悲しい≠泣く」と変化します。苦しい時哀しい時でも心に感情を仕舞い込み、表面上はニコニコしなければならない状況もあります。

大人になり社会の中で生きていく上で、偽ることが当たり前になるのです。でも子どもはまだ「その明暗のちがいを見分ける」能力は発達段階にあります。このセリフを読んだ時、自分自身は心が子どものまま大人になっているような気がしました。しかし子どもの心を忘れた大人にはなりたくないとも思っています。

この本は子どもが大人になりたい願望、子どもに戻りたい大人の願望がとてもメランコリックで詩的に描かれています。他にも素敵なセリフ、描写がたくさんあります。子どもの心をわすれた大人に読んでもらいたい一冊です。

回答者：30代 女性

本で出逢った名言・名セリフ

町じゅうで一番幸福そうで、一番にこやかな微笑の持主が、ときには一番重い罪を背負っている場合もあるのだよ。微笑にもさまざまある－その明暗のちがいを見分けることが大切なんだ。

何かが道をやってくる より