俺ァ、おとっつぁんに似たんだ | 本で出逢った感動の名言

残侠―天切り松 闇がたり〈第2巻〉
著者: 浅田 次郎
ISBN:4087475077 / 発売日:2002-11
出版社.: 集英社

凄腕のスリ、詐欺師、天切りと呼ばれる、家人に全く気づかれぬまま、屋敷の屋根を抜いて盗みを働く大泥棒など、ピカ一の才能を持つ男達が、男の心意気だけを胸に抱き、義賊として闇の世界を渡ってゆく姿を、一家の生き残りである松蔵の回想という形で語られる物語のエピソードの一つで発せられた言葉です。

一家に属する天切りの大泥棒である黄不動の栄治が、慕い尊敬した父親があることがきっかけで、本当の親子ではないと知ってしまい、グレた果てに悪名を轟かせるに至った現在でも、変わらず格好良い父親として愛情を注いでくれる父親に、思わず言ってしまった言葉です。

本来他人である自分を育てさせてしまった申し訳なさ、さらにまっとうな職に就かず裏稼業の世界に身を投じてしまった情けなさが心に居座っている栄治に、そんな事などおくびにものぞかせず、父親であり続ける栄治の親父さんに、そしてまるで幼子のように彼を慕う栄治の姿に涙が止まりませんでした。

回答者:50代 男性

本で出逢った名言・名セリフ

俺ァ、おとっつぁんに似たんだ

「天切り松 闇がたり 第二巻 残侠 第六夜 黄不動見参」 浅田次郎 より

残侠―天切り松 闇がたり〈第2巻〉
著者: 浅田 次郎
ISBN:4087475077 / 発売日:2002-11
出版社.: 集英社

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