風景だったピアノが呼吸を始める。ひとつずつ音を合わせていくうちにピアノはその重たい身体を起こし、縮めていた手足を伸ばす。… | 本で出逢った感動の名言
作者の宮下奈都さんは本当に表現がきれいでなおかつ具体的にイメージをさせてくれます。ピアノが生き物がみたいに呼吸をする様は読んでいて静かな臨場感がありました。文字でここまで風景を描かせてくれる作者は少ないと思います。
ピアノも習っていませんし、調教師なんて私にとっては裏方のの一生縁のない仕事です。その仕事があるからこそピアニストがピアノを弾くことができ、私たちが音楽を楽しめ、ピアノをぐっと間近にさせてくれているんだと思いました。学生の頃体育館に置いてあったピアノにもっと触れておけば良かった、そう思える本です。
同時に小さい頃から誰でも身近にピアノに触れ合える機会がある日本ってなんて素敵な国なんだろうと思います。
もっと小さいころにこの本を読んでいたら確実に親にピアノ教室に通わせてほしいと頼んでいたと思います。まるでジブリアニメをみているようなそんな美しい本です。
回答者:20代 女性
本で出逢った名言・名セリフ
風景だったピアノが呼吸を始める。ひとつずつ音を合わせていくうちにピアノはその重たい身体を起こし、縮めていた手足を伸ばす。歌う準備を整えて、今にも翼を広げようとする。その様子が、僕が今まで見てきたピアノとは違った。大きな獅子が狩りの前にゆっくりと身を起こすようなイメージだろうか。
羊と鋼の森 より
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