「最も強く啓蒙された部分は十三世紀の先覚者ロジャー・ベーコンの説いたところです。人間世界の諸悪は無知に因るものであり、無… | 本で出逢った感動の名言

ジェットエンジンに取り憑かれた男
著者: 前間 孝則
ISBN:4061852043 / 発売日:1992-06
出版社.: 講談社

この言葉は、ロジャー・ベーコンの言葉を引用して、永野治氏自身の思いを述べたものです。

終戦直前の混乱期に、日本初のジェットエンジン造りあげた同氏。昭和五十年代前半、既に、航空技術分野の第一人者の座にあるにも関わらず、謙虚に人間のあるべき姿に想いを巡らす同氏の姿勢。何度読み返しても、その真摯さには共感を覚えます。

人間は、自身の保身を無意識に図る存在だと思います。同氏は、周囲から、航空宇宙分野の「権威」であると認められており、或る意味、悠悠自適な老後を送る事も出来る立場にありました。それにも関わらず、自ら「権威」を否定。人間は、常に世界、存在の原点を「直視」し続けなけらばならない。その様に、自らに、そして、後進にも説き続ける。

往々にして驕り高ぶる事の多い人間。特に、或る程度年齢・経験を重ねた世代に、警鐘を鳴らす言葉として、同氏のこの言葉はとても重みのある言葉だと思います。幾度読み返しても、胸を強く打つ言葉だと感じています。

回答者:50代 男性

本で出逢った名言・名セリフ

「最も強く啓蒙された部分は十三世紀の先覚者ロジャー・ベーコンの説いたところです。人間世界の諸悪は無知に因るものであり、無知の根源は、(1)権威崇拝、(2)習慣、(3)群衆心理、(4)虚栄心、の四つであるとしているのがまことに衝撃的なくだりでありました。そして自分の目で世界を直視しなさい説いているのです」(前掲書)

ジェットエンジンに取り憑かれた男 より

ジェットエンジンに取り憑かれた男
著者: 前間 孝則
ISBN:4061852043 / 発売日:1992-06
出版社.: 講談社

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