クマ関係や人間関係、まちの都会への憧れなど盛りだくさんな一冊な | [書評]くまみこ

くまみこ
著者: 吉元 ますめ
ISBN:4040682300 / 発売日:2016-03-23
出版社.: KADOKAWA/メディアファクトリー

くまみこ6巻の見どころを紹介したい。
2つの恋が進行し、まちがいよいよ都会へ行くこととなる急展開を迎える巻だ。

新クマ登場!

第31話『クロクマ襲来』では、顔と体に傷が目立つ黒いクマが登場する。

そして、いきなりナツの背後を取り、腕ひしぎ十字固めを食らわせる。そんなクマをまちは、ほのちゃんと呼ぶ。おまえ…女だったのか!そんなベタな展開も動物物だと自然になると思う。

そんな彼女『ほのか』はナツに子を成さないかと言う。ナツの知能の高さと体の大きさが理由だそうだ。もちろんナツは拒否し、そもそもおち…生殖器を切除しているから無理だと言う。確認させろというほのかから逃げ回ることとなる。

ここで気になるのが、なぜ切除したのかということだ。1巻での昔話では、クマと生贄の娘が交配して、言葉が話せるクマが生まれたと伝えられた。一般的に去勢手術と言うと飼い犬のそれを思い浮かべる人が多いと思う。

むやみな繁殖を避けるためのものだが、実はオスの闘争本能も抑えられるため、ペットとして扱いやすくすることも大きな目的だ。巫女や村人と関わることが多い山神として、理性を働かせるためにそのような処置をされたのだろうか。

ひー子の恋

次はおなじみ響とよしおの話。

ナツが二人をくっつけようと画策する。ほのかに追いかけられた体験から、響の恋は逆にもどかしく感じてしまうそうだ。ナツは響がよしおに惹かれる過程を、荒れている響にも普通に接してくれるからではないかと想像していた。

この想像は事実と大差ないようで、この話の最後のひびきのモノローグでは、よしおの笑顔を見ていると腐った自分が許されるようだとある。さすが山神と言ったところだろうか。

まち、都会へ行く

しばらく忘れられた感のある、都会の高校への進学話。

やはり都会の高校に行きたいというまちに、ナツは実際に電車で高校まで行ってみることを課題として提案する。高校までは電車を乗り継いで2時間。電波が入る場所まで出たため、ナツからの乗り換え案内メールも届き、なんとか乗る電車を間違えずに進むまち。しかし最後の乗り換え電車で無慈悲なアナウンスが…。

このようにクマ関係や人間関係、まちの都会への憧れなど盛りだくさんな一冊なので、ぜひご覧いただきたいと思う。

くまみこ
著者: 吉元 ますめ
ISBN:4040682300 / 発売日:2016-03-23
出版社.: KADOKAWA/メディアファクトリー

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