終わらせるために始める物語 | [書評]エスケヱプ・スピヰド

エスケヱプ・スピヰド
著者: 九岡 望
ISBN:4048863436 / 発売日:2012-02-10
出版社.: アスキーメディアワークス

戦後に来る広げられる戦争

戦えないヒロインは、足手まといではなく彼女たちになりに戦ってるんだぞ、と思わせてくたヒロインがこの作品の叶葉です。

戦争から20年たち、冷凍保存から目覚めた人たちが寄り添いクラス尽天。そのなかで目覚めたばかりの一人の少女は天蓋孤独ながら、明るく精一杯にいきていく。そんなある日、彼女は戦時中9機しかいなかったこの国の最高戦力と出会う。

鬼虫9番式・蜂。

その圧倒的な兵力を誇った鬼虫のなかに見た目は人と変わらない首脳を持つ人物が乗っていたのだとその時初めて知った。縁あって彼の指令となった少女・叶葉と鬼虫の少年・九曜は行動をともにしてゆくことになる。

倒さなければならない敵

「――貴様、まだそんなものに頼らなければ戦えんのか?」

叶葉たち尽天の人々は、外へと出ていくためには大きな通りを抜ける必要があった。しかし、そうできない理由があった。それはその通りに、九曜と同じ鬼虫がいたからだ。

鬼虫壱番式・「蜻蛉」の“竜胆”。

鬼虫シリーズの最初の一騎であり、九機いる鬼虫の司令官を務める最強の男。その男は、九曜が戦争の最後に敗れた相手でもあった。戦う相手がいなくなった機械兵士たちが狂っていく中で、ただ道をまもり誰も通さない竜胆。

彼はまだ戦争の中にいるのか?

それとも、別の理由があってそこにいるのか・・・。

かつての雪辱を果たすために挑む九曜を、竜胆は冷たく見返すのだった。

先へ・・・

守りたいものがある。帰還を約束したひとがいる

敗れた九曜を、葬ろうとする竜胆と、阻止しようと何も持たないまま立ちはだかる叶葉。圧倒的に武力の差があるそのにらみ合いは、竜胆がひくことでいったん、鬼虫2機の戦闘は区切りをつける。

竜胆へ挑みまたも敗れた九曜は、尽天で目覚めてから叶葉達と共に歩んでいた日々を『演算に邪魔なもの』と捨て去る。しかし、変わらず九曜を「ひと」と同じように接する叶葉。

そして彼女の思いは、九曜に忘れていた想いを呼び起こさせることになる。

エスケヱプ・スピヰド
著者: 九岡 望
ISBN:4048863436 / 発売日:2012-02-10
出版社.: アスキーメディアワークス

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