【書評】過去と向き合う勇気 | 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年


人に知られたくない過去に蓋をして、今を淡々と生きようとしている主人公にまず共感します。

過去を引きずって、新しい出会いに臆病になっているところや、その中で日々の生活も悪くはないので、こんなもんでいいかと波風立てずに過ごしたいという主人公の気持ちもよくわかります。しかし、このままでは前に進めないという思いにかられ、昔の仲間との再会を求めることで自分自身と向き合うことになります。

臆病なゆえに知りたくないこともありますが、ひとつひとつ記憶と事実を照らし合わせるうちに、今の自分の在り方も考え始める主人公です。臭いものに蓋をするという言葉もありますが、それでは人は前に進めないのかもしれないと思わせてもらいました。

過去の自分と向き合い、解決することで、今をさらに充実したものにステップアップしていくことが、いかに大事かと訴えています。その先の未来が、自分の思い描く結果と違っていたとしても。チャレンジする勇気を教えてもらいました。

回答者:30代 女性


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