【書評】本当の座右の銘がここにたくさんあります。閉塞感のある現代社会の「読むクスリ」 | こころの処方箋
著者の河合隼雄さんはとても有名な心理学者で、臨床心理士だった方です。生涯にわたって多くのこころの病を抱えた方に寄り添ってこられました。その経験の中から紡ぎ出された言葉は、私たちのこころの琴線に触れます。
とても謙虚なお人柄が表れているのが、はじめの章「人の心など分かるはずがない」です。巷には心理カウンセラーや心理学者を名乗る人があふれ、メンタリストなど「人の心を読む」などの言葉が氾濫しています。そして、何より「空気をよむ」ことが日常的に求められ、多くの人はそれに疲れているのではないでしょうか。
それに対し、心理学の大家が発しているのが先の言葉です。私は、まずこの一言にしびれてしまいました。本書全体に流れているのは、人間に対する優しさの視点です。今流行の「アドラー心理学」とは明らかに異なるものだと思います。心が疲れているときに読むクスリだと思います。
回答者:30代 男性
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