【書評】村上春樹が見たヨーロッパの風景と『ノルウェイの森』執筆の舞台裏に注目! | 遠い太鼓

遠い太鼓
著者: 村上 春樹
ISBN:4061853821 / 発売日:1993-04-05
出版社.: 講談社

この本は、今や世界的な作家としてその名を轟かせている村上春樹の旅行記です。40才を目前にした村上さんが、ヨーロッパの各地を旅しながら『ダンス・ダンス・ダンス』『ノルウェイの森』そして短編集『TVピープル』といった初期の代表的作品を書いていく模様が、この本を読んでいるとありありと伝わってきます。

文庫本にして優に500ページを超える長い長い旅行記ですが、あまりに内容が濃密なのでそのボリュームを意識せずに案外あっというまに読めるところが魅力です。どこにポイントを絞ればいいのかわからないぐらいに面白い話があちらこちらに出てきます。

ローマ、アテネ、ギリシャと旅する先々で村上さんが出会う人々との会話もとても克明に描写されていて興味深いですし、何より私がこれを読んでよかったなと思ったのは、『ノルウェイの森』を一心不乱に書いているときの風景が、この本の中にとても正直に記されていたことです。これは本当に読めて嬉しかった。村上さんがどういう風に小説を書いているのか、いつも謎だったので。

回答者:30代 女性

遠い太鼓
著者: 村上 春樹
ISBN:4061853821 / 発売日:1993-04-05
出版社.: 講談社

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