歴史×魔法の新感覚ノベル | [書評]幕末魔法士―Mage Revolution

幕末魔法士―Mage Revolution
著者: 田名部 宗司
ISBN:4048683233 / 発売日:2010-02-10
出版社.: アスキーメディアワークス

魔法士がでてくるけど、海外じゃない!

中世の時代設定で、日本で不可思議を取り扱えば「陰陽師」。魔法がでてくると、海外のイギリスとかで錬金術や、古代魔法のイメージがあります。しかし、このお話は日本に魔法が輸入されてきて、武士と魔法が同居するノベルです。

久世伊織は、大阪で適塾で魔法を学び、またそれを生業とするまだ若い魔法士。塾長の名により出雲国松江藩へ、古代語の翻訳の仕事をしに出向くことになる。人と深くかかわることを避けてきた伊織は、この出雲で新しい物語を紡いでいくことになる。

個性的な人たち

「どうして私と馴れ合おうとする?」

父が悲願としていた久世家再興という願いをかなえるために、いろいろを背負ってきた伊織。人と距離をとる伊織を真逆ともいえる失本冬馬と出会い、同じ家で暮らすこととなる。

おいしい料理をつくり、適度な距離を持ちながら親切な世話をやいてくる使用人の弥平。仕事を依頼してきた松江藩の若き執政・神藤。そして、攘夷志士に殺されたとされる金森。その仕事を継いだ伊織にまとわりつく、影。松江藩に幅を利かせている攘夷志士の調査を始めた伊織と冬馬は徐々に距離を近づけて行く。

本当のこと

「頼む、冬馬。私についてきてくれ」

後継ぎであった兄が惨殺されたために、彼の名をかたり女の身で魔法士として生き家の再興を目指す、伊織。祖父の呪紋で魔法が使えないために剣の腕を磨いてきた。しかし、いつかついてくれるという祖父が帰らない冬馬。

冬馬はいままで祖父の門下にといてくれるよう頼んでいたが、だれも聞き入れてくれないからと伊織に目をつけた。しかし、ともに過ごす時間や事件が二人を最初の印象から互いをかえていくことになる。

自分ひとりでなんでもしなければ、と気負っていた伊織の心に無遠慮に入り込んでくる冬馬。苛立ちつつも、気がつけば彼の存在を受け入れていく伊織。魔法と剣が互いを助け、お互いの考え方や言葉が互いを支えて行く。解読が進む古文書に書かれた事実が、この国の闇と真相を明かしていくカギとなる。

幕末魔法士―Mage Revolution
著者: 田名部 宗司
ISBN:4048683233 / 発売日:2010-02-10
出版社.: アスキーメディアワークス

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