大砲レンズがなくてもバードウォッチングが楽しめる | [書評]鳴き声と羽根でわかる 野鳥図鑑-鳥の鳴き声が聴ける・羽根の形・色がわかる


身近な鳥を愛でるバードウォッチング、どうはじめたらいいの?

趣味らしい趣味がなかった私でも、本書を皮切りにどっぷりハマることになったバードウォッチング。不思議だったのが、みんなどうやって始めたんだろう、という事。

子供の頃から動物好きだったので、スズメ、ツバメ、カラス、サギといった身近な鳥であれば姿を見ればわかるのですが、明らかにそれとは違う鳥がいる。でもはっきり姿は見えない。鳴き声は聞こえている。何だろう!うーん、見たい!知りたい!となった時に本書と出会ったのです。

本書では最初の数ページに入門者向けの心構えや服装、機材などの説明があってきちんとはじめたい方にもとっても親切。入りやすい内容になっています。

場所と鳴き声で特定できる便利さ

この本の最大の利点はあの鳴き声は何の鳥だろう?私の家の周りにはどんな鳥がいるんだろう、という疑問が解消する点です。初心者で機材もなく、お金もない私にはとてもありがたい情報でした。これさえあれば自分がいる場所と時期、遠くても大体の大きさなどから、鳥の種類が特定できますので入門者にはもってこいの内容です。

鳴き声で大体の鳥の種類や位置が特定できれば双眼鏡などでの観察もしやすくなります。また、普段頻繁に行くことが出来ない場所に生息する鳥の声も聴けるのでおススメです。少し残念なのはすべての鳥の声を網羅しているわけではなく、一部の鳥にはQRコードの掲載がない点です。

ベテランの愛鳥家にも読んでもらいたい

本書中には「美しく魅力ある野鳥だが、私達はその生活を脅かしてはいけない。安心できるだけの距離をとって観察することが肝心だ。」という一文が出てきますが、こういった野鳥への配慮を大前提に観察を楽しもうという作者の思いが随所にうかがえます。

また全部で6つあるコラムでは本書の写真家が撮影現場で感じたことなどをまとめており、鳥への愛情深さも垣間見れたりします。野鳥の美しさを追い求めるあまり、近づきすぎたり追いかけまわしたりせず、時には撮らないという選択も、と本書は言っています。

内容的には入門書、初心者向けという部分が多いように思いますが、ベテランバーダーにもぜひ読んでもらいたい内容です。

始めは、ほんの少しの好奇心でも

本書では鳴き声のほかに抜けた羽根の写真も載っています。山歩きで抜けた鳥の羽根を拾ったりすることもあるでしょうか。そんなところから始めるというのもアリですね。

初心者にはバードウォッチングしてる人ってなんかとっつきにくい感、あると思います。なかなか話しかけられない、声掛けづらい・・・。野鳥の生息域を安易にさらさないために、ということもあるのでしょうが。

年々若い人も増えているように思いますが、みんな最初はわからない事だらけだったと思います。どうはじめたらいいかわからない、こんな小さな好奇心からどうやって本格的に始めるの?そんな小さな芽を育ててくれる本当のはじめの一歩になるようなすてきな一冊です。


あわせて読みたい