高揚した文章に三島の喜びを感じる | 読むと旅に出かけたくなる本
高揚した文章に三島の喜びを感じる
「アポロの杯」(三島由紀夫) より
三島由紀夫が、1951年の12月から数ヶ月に渡って世界旅行をしたときの記録です。旅行記でも三島のきらびやかな文章は健在で、特にギリシャを訪れる部分に関しては、書きながらその時の高揚感を思い出したのか、まるで詩のようにその風景を歌い上げる文章になっています。
これを読めば誰でもギリシャを訪れてみたくなるでしょう。僕もこの本を片手にアクロポリスを登り、パルテノン神殿を目の前にしましたが、ちょうど補強工事のため敷地にはクレーン車などが入っていて、残念ながらこれは興ざめでした。
おそらく三島がギリシャに憧れたのはその性的嗜好も手伝っているとは思いますが、そのカラリとした空気と強烈な陽光は他では味わえないもので、文章に導かれて訪れたのは正解だったと思いました。
回答者:50代 男性
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