2016年6月25日 小説 「じゃない方」の芥川賞作家、17歳のデビュー作 | [書評]黒冷水 粘着質な兄弟 兄弟同士、お互いの机や本棚をこっそり確認することなんて、そんなに異常なことでもないだろう……と軽い気持ちで読み始めると、その執拗さに少々ぞくりとします。 「プロの“あさり屋”」と自称する中学生の弟が、高校生 […]
2016年6月25日 小説 山田宗樹の「百年法」から日本の未来を考える | [書評]百年法 日本の近い将来を予感させる… 日本の平均寿命は世界トップクラスです。 人生80年どころか90年100年になるのも時間の問題のように思えませんか?しかしそれは単純に「寿命が延びて人生が長くなる」と言うものではあ […]
2016年6月23日 小説 複雑に入り混じる感情を短編に収めたこの作品 | [書評]カフェー小品集 文庫で短編集だからこその読みやすさ 私は嶽本のばらさんの作品がもともと好きなのですが、彼の作品は1度読んだだけでは不可解に思う表現や独特すぎる感性から文章にも表れる読みにくさがある中、今回オススメさせて頂く作品は、短編な […]
2016年6月21日 小説 双子たちの王国 | [書評]悪童日記 嫌な事なら何でもやる ストレスを解消するには、逆に嫌な事やストレスだと思っている事をやればいい。そんな事を書いた記事を読んだことがある。 確かに、嫌だ嫌だと避けているうちに巨大になってしまった恐怖に向き合ってみれば、なん […]
2016年6月21日 小説 意外とこれが村上龍の入門書! | [書評]半島を出よ〈上〉 意外とこれが村上龍の入門書 村上龍で有名な本といえば「限りなく透明に近いブルー」とか「コインロッカー・ベイビーズ」ではないでしょうか? ネット上で「小学校のころ、教室の本棚に『13歳のハローワーク』を見つけて、読んでいた […]
2016年6月18日 小説 ある日突然猫になるということ | [書評]ジェニィ 猫だって楽じゃない 猫になるということは、外国に行くことに似ている。 もちろんツアー旅行ではなく、たった1人でだ。全く言葉はわからないし、帰りの飛行機のチケットは持っていない。そこにどんな法律があって、どんな振る舞いがそ […]
2016年6月9日 小説 大人が楽しめるファンタジー物語 | [書評]鹿の王 (上) ‐‐生き残った者‐‐ 大人のためのファンタジー 本作はファンタジーですが、伝染病や、民族同士の共存または侵略のための微妙な関係性を描いた物語は、子供よりもむしろ大人が楽しめる物語なのではないかと思います。 読んでいると文章から森などの自然や光 […]
2016年6月8日 小説 いつかは無くなるということ | [書評]まく子 西加奈子作品で繰り返し描かれてきたテーマ 直木賞作家、西加奈子の新刊『まく子』。物語の舞台は小さな温泉街、主人公は小学五年生の男の子だ。その温泉街に引っ越してきた少女との恋、主人公の成長を描くストーリーとなっている。 こ […]
2016年6月7日 小説 映画化もされた名作!余韻の残る物語 | [書評]冷静と情熱のあいだ―Rosso 男性目線と女性目線、2人の作家によってそれぞれ描かれた物語 本作はイタリアのミラノを主な舞台に描かれた恋愛小説で、江國香織が女性の視点からの物語を、男性の目線の物語を辻仁成が描いています。 どちらか片方を読むだけでも十分 […]
2016年6月6日 小説 村上春樹初心者にオススメしたい1冊! | [書評]色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 36歳の男性が、青春時代の心の傷を見つめなおす物語 誰よりも信頼していた、自分の体の一部のように慣れ親しんでいた四人の親友 主人公である田崎つくるには高校時代、四人の親友がいました。 高校卒業後、四人が地元とである名古屋 […]
2016年6月6日 小説 理系大学生の日常と非日常 | [書評]キケン キケンサークル この物語は成南電気工科大学のサークル「機械制御研究部」通称「キケン」で起こる様々な出来事の記録です。部長の上野直也、副部長の大神宏明、親友部員の元山高彦と池谷悟が中心となり様々なイベントや日常を描いていま […]
2016年5月25日 小説 鍵のかかった小説 | [書評]解錠師 いくつもの鍵 幾重にも鍵がかかっているような小説である。 最初はどう捉えていいのか解らない。それにもかかわらず、本を投げ出してしまえない。魅力的だ。1つ解いたかと思ったら、また次の鍵である。 いつ最後まで行けるのかとこち […]
2016年5月24日 人文・思想小説 文章を書くの一番大事なのは語彙ではなく○○だ | [書評]文は一行目から書かなくていい - 検索、コピペ時代の文章術 まとまった文章を書く必要に迫られたとき、1番ハードルに感じることは何ですか? 色々あると思いますが、「初めの1文が浮かばず、書き始められない」と悩む方も多いんじゃないでしょうか?企画書やレポートなど、書かなければいけない […]
2016年5月21日 ノンフィクションビジネス書人文・思想小説 吉本隆明は悪人である | [書評]悪人正機 「家族」ってなんだ?規制フリーな談話 ご近所のおじさんが気が置けない相手に話すような内容は、テレビやメディアの上では滅多に聴けない。もしおじさんがテレビに出ることになったとしても、『配慮の結果』、それはきっとほとんどタテ […]
2016年5月18日 小説 推理小説の傑作。予想がつかなかった真犯人の姿とは | [書評]そして誰もいなくなった 第二次大戦の前に書かれた推理小説の傑作 この作品はイギリスの作家アガサ・クリスティが1939年に発表した推理小説です。 物語の舞台となる兵隊島は、実際にクリスティが居住していた土地の近くにあった島を参考としているそうです […]
2016年5月17日 小説 “意味を問い続けること”の意味 | [書評]冷血(上) 高村薫の世界観に漂う嫌悪感と高揚感 冷血は単行本の上下巻600pに及ぶ長編小説で、「マークスの山」から続く合田刑事シリーズの4作目。 シリーズ以外にも「新シア王」「太陽を曳く馬」に合田刑事は登場していたのですが、がっつり […]
2016年5月15日 小説 数学や物理よりも愛がテーマの「容疑者Xの献身」 | [書評]容疑者Xの献身 テレビでの再放送を見て、あらためて読んでみました。 本では容疑者Xは映画の堤真一よりももっと冴えない人物として描かれています。 天才数学者対天才物理学者 今回の作品においては湯川先生の専門の物理の知識はあまりでてきません […]
2016年5月14日 小説 絵本で読める哲学書!? | [書評]葉っぱのフレディ―いのちの旅 確かに名作絵本 葉っぱのフレディーは、いわゆる名作絵本として有名ですので認知度は高いです。 しかし、低年齢層向けの絵本ということもあり、小さいお子さんでもいなければまだ手にとってまだ読んだ事がない方も多いはずです。 強 […]
2016年5月12日 小説 ジャニーズ初の作家が贈る、程良く読みやすい佳作 | [書評]傘をもたない蟻たちは アイドルが作家デビューした理由 6つの独立した物語からなる短編集。著書はジャニーズのグループであるNEWSのメンバー・加藤シゲアキ。 特に男性は彼の存在自体知らないかもしれません。NEWSといえば山Pが脱退したグループ、 […]
2016年5月10日 小説 地方都市で生きる閉塞感。どこへも行けない私たち | [書評]アズミ・ハルコは行方不明 地方都市で生きる閉塞感 著者の山内マリコはデビュー作『ここは退屈迎えに来て』でも、地方都市を生きる者のリアルを描いて話題になっていた。 描かれる地方都市は大型ショッピングモールやファストフード店など、チェーン店は充実して […]
2016年5月9日 小説 男性作家が描くアラサー女性の10年間 | [書評]私という運命について 男性作家による女性視点での物語 白石一文は2010年「ほかならぬ人へ」で直木賞を受賞。実は父親の白石一郎も直木賞受賞作家。直木賞初の親子受賞となっています。 2000年にデビュー作である「一瞬の光」で注目され、エリートで […]
2016年5月8日 小説 武士としての生き方の葛藤を描いた歴史小説 | [書評]生きる どんな物語? 第127回(平成14年度)直木賞作品の作品です。舞台は江戸時代、ある藩の壮年武士が主人公。 この物語は、どうにもならない不条理を耐える武士の生き様と、心の葛藤を描いた作品です。とある藩の藩主が、臨終の間際に […]
2016年5月7日 ビジネス書小説 文豪夏目漱石の優れた思想を学べる書 | [書評]私の個人主義 「私の個人主義」は文豪夏目漱石の5つの講演を収録したものです。 この本を読むことによって、漱石がどのような人生を歩み、どのようなことを考えてきたのかをうかがい知ることができます。今年は漱石の没後100年の節目の年に当たり […]
2016年5月5日 小説 軍人になりそこなって、歴史家を目指す生き方 | [書評]銀河英雄伝説 『銀河英雄伝説』は歴史家という職業と戦略の重要性とを教えてくれた本です。 この物語には、歴史家志望でありながら、学資がなくやむをえず軍人になった人物が登場します。同盟側の主人公ヤン・ウェンリーです。 ヤンは軍人としての出 […]
2016年5月4日 小説 人生最期にしたい1つのことは? | [書評]世界から猫が消えたなら 本屋大賞ノミネート・100万部突破・映画化 天邪鬼なタイプであると凄く売れている、映画化される本は逆に手に取る気が起きない。そんな傾向はありませんか?きっと私だけではないですよね。 中学生の娘がお気に入りのこの小説は、ま […]
2016年5月1日 小説 たった一度の好奇心で人生が! 世の中には読んではいけない本がある | [書評]ハナミズキ 映画「ハナミズキ」のノベライズ。北海道、東京、ニューヨーク、カナダを舞台にして、お互いを想いつつもすれ違うふたりの10年にわたる恋愛を描いたもの。 2010年に公開された映画「ハナミズキ」のノベライズです。 海外で働くこ […]
2016年4月29日 小説 小説を読む楽しさを堪能したいなら 佐藤正午のススメ | [書評]取り扱い注意 物語る才能の素晴らしさ 佐藤正午という作家を知っていますか? タイムパラドックスをモチーフにした「Y」や、ガールフレンドの失踪から物語が始まる「ジャンプ」はネプチューンの原田泰造主演で映画化もされベストセラーになったので […]
2016年4月27日 小説 東欧についての知識皆無でも楽しめる!宝塚で上演もされた「プラハの春」 | [書評]プラハの春〈上〉 アラブの春とプラハの春 「アラブの春」が広がりを見せたのは2010~2012年のこと。独裁政治が続々倒され民主化の波が広がることが期待されたが、現状はISの台頭による大規模テロや難民問題とアラブ諸国の平和は一向に見えてこ […]
2016年4月26日 小説 超人的能力を持ちながら、無力さを痛感する理由とは? | [書評]無痛 ドラマとの違いを見つける楽しみ この無痛は西島秀俊主演でドラマ化されていた。 そのドラマを見たのがきっかけで本を手にとった。最初に本を目にしたときは少し厚みがあったため途中で挫折しないかと躊躇したが、その思いは杞憂であっ […]
2016年4月24日 小説 人間の愚かさが「憎むべきもの」から「愛おしいもの」に変わる本 | [書評] ハツカネズミと人間 人生における不条理との向き合い方 人生において不条理は受け入れがたいものです。 手に入らなければ腹が立つし、失敗はしたくない。描いた理想は実現しなければ意味がない。そんな風に考えていた私にとって、この本との出会いは視野を […]